第七世界
「さあな」

「あの子もそろそろ身を落ち着かせなければなりません」

「あいつ自身の問題だろ。親がしゃしゃり出る問題じゃねえ」

楓が本当にどうしようもなくなったら、どうにかしてやればいい。

しかし、今は本人もやる気がないのに結婚してもうまくいくはずがない。

いや、可能性としてはゼロではないんだけどな。

「先方は今日にでも来ますよ」

「梓さんは、何とかする気は、ねえよな」

「孫の顔が早く見たいですから」

「自分の願望なんだな」

「私は自由な時間を与えたつもりです」

「制限時間付きかよ」

「皆木の血を途絶えさせるつもりはありません」

「そうかよ」

特に昨日の事に触れるつもりはないらしい。

「今は風呂に入りたい」

「今の状態であなたがどこまで出来るのか、見物ですね」

「見世物じゃねえんだよ」

俺は風呂に入るために脱衣所にて服を脱いだ。

浴場の扉を開けると、広々とした場所だ。

しかし、そこにいたのは佳奈子さんである。

「ああ、間違えた」

「気にする必要なし」

そういいながら、いつの間にか背後に立っている。

「ちょ、いつの間に?」

「ささ、私に気にしないで風呂に入るべし」

俺は後ろからおもいっきし押され、風呂に突撃する事となった。
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