第七世界
「全く、こっちは昨日の事で疲れてるんだっつうの」

「いきなり消えたもんね、おばさんびっくりだよ」

「おいおい、何で知ってる」

思ってみると、あの場には佳奈子さんもいた。

しかし、気を失っているように見えた。

「死んだフリしてたのか?」

「おばさんも一応、女性だからさ」

何の理由にもなっていないが、生き残りたいという気持ちは分らないでもない。

「そうかよ」

俺は湯船にゆっくりとつかる。

今の状態を誰かに見られたら恐ろしい事になるが、誰も入ってこないだろう。

だって、一応、みんな俺が風呂に入っている事は知っているんだしな。

「ねえ、恭耶君」

「何だよ?」

「おばさんといいことしない?」

「あんたは馬鹿か?馬鹿なのか?」

「ひどいなあ、男と女がいればやる事は一つでしょー?」

「あんたなあ、俺がどれだけ死にそうになってるか分ってるのか?」

「だって、男の吸血鬼のニオイをにおったら欲情しちゃったんだし、しょうがないじゃない」

「何が、しょうがないだ!俺の体を気遣う気はねえのかよ!」

「気遣いながらするから、いいじゃなーい」

年齢がどうのこうの言う前に、俺は死にそうなのだ。

何で、自分の都合ばかりを気にする奴らしかいないのか。

「おーい、梓さーん」

呼んでくるものじゃないとは思っていた。

しかし、扉の開いた先には梓さんが立っている。

「佳・奈・子ちゃん?」

青筋が立っているようだ。
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