第七世界
「ふう」

気分が悪いながらにも、俺は見合い相手を確認するために柱の影に隠れて見張る。

「なあなあ、アレちゃうか?」

傍には和服姿の刹那がおり、細目で見ている。

二日連続同じ服であるのはよろしくないと梓さんが用意したものらしい。

ティーナさんと佳奈子さんは別の部屋でお茶を飲みながら待機している。

刹那が告げた通り、門の向こう側からスーツを来た男が二人の男に一人の女を連れて入ってくる。

写真で見た通りの男だ。

あれが、吸血鬼だっていうのか。

男女はサングラスをかけて、怪しげな雰囲気を出している。

一体、梓さんは何を考えているのか。

あんな怪しい軍団に楓を嫁がせようとでも思っているのか。

見合い相手の男がこちらを一瞬見たような気がした。

しかし、梓さんが奥へと促す。

俺は柱に背をもたれかけ、呼吸を整える。

「バレたのか?」

「こっちは隠れてるんや」

そういえば、刹那って吸血鬼の存在を知っていたか?

何も知らないままで連れてきてしまった。

俺が守るから問題はない。

別に『俺』と約束したからではない。

こんな場所で無駄死にさせれば、両親からの抗議が止まらないからだ。

最後まで死なせないけどな。

「何考えてるんや?」

刹那が俺の顔を見ている。

無言になっていたのが気になったのか。

「お前の料理の影響でこうなったんじゃねえのかと」

「弱小な恭耶が悪いんや」

責任転嫁はお手の物だな。

俺も人の事はいえないか。
< 254 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop