第七世界
見合い相手に付いてきていたスーツとサングラスの女が傍に立っていた。

「いつの間に、おったんや?」

多分、吸血鬼ならではの速さを見せたのだろう。

「邪魔者なら、怪我をしてもらわなくちゃならないの」

「聞いていたって事か」

「あなた達にとってもあの方の邪魔をする事は不利益しか生まない」

「不利益だ?んなもんどうでもいいんだよ」

くらつきながら、女の前に立つ。

「お前らの都合がどうかなんてのは知った事じゃねえ。そっちが邪魔をするなら、こっちだって邪魔をしてやるぜ、嫌ってほどな」

俺は絞りかす程度の気力を振り絞り、女にメンチを切った。

刹那、女に首をつかまれた。

「が、は」

「あまり、我々の一族を舐めないほうがいいわ」

「くだらねえよ。何が一族だ」

「それ以上喋ると」

「どうなるっていうんや?」

刹那が拳を握っている。

「おちびさん程度に、何が出来るの?」

「これくらいは、出来るわ!」

一歩を踏み出して、拳を放つ。

しかし、それはオールバックのスーツ男に受け止められる。

見合い相手の仲間なのだろう。

男は刹那の拳を離し、手を振った。

「乃亜、余計な事はするな」

「私は仕事をしただけよ」

「場所を考えろ。ここは、相手側のテリトリーだ」

「邪魔者を排除する事は悪い事ではないわ」

乃亜は俺の首から手を離す。
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