第七世界
「命拾いしたわね」

「お前らも俺をやらなかった事を後悔すんだな」

鼻で笑うと二人は背中を向けて去っていく。

「はあ、はあ」

気分の悪さに膝をついた。

「恭耶、あんたほんまに大丈夫なんか?」

「なんら問題ねえぜ」

俺は必死になりながら立ち上がる。

「しっかしよ、さっきはお前のおかげで何とか乗り切ったな」

「ふん、ほんま、弱い奴を助けるのにも一苦労やわ」

そういいながら背中を向けた。

背中を向けた瞬間、手を押さえていたような気がする。

「ちっと、こっち向け」

「何でや?」

「いいからこっち向けって」

「嫌や」

仕方ない。

「まったく、そういう頑固なところは成長しないよな。胸も背も同じだが」

裏拳が飛んでくると顔面に食らうが、いつもの威力はない。

「いったあ!」

手を押さえながらうずくまる。

「無茶すんじゃねえよ」

俺は座り、刹那の手を見る。

「さっきの拳を受け止められた時に、ひねられたか」

「ちょっと打ち損ねただけや」

しかし、表情は苦痛に満ちていた。

「んなもん誰でも嘘ってわかるっつうんだよ」
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