第七世界
刹那は俺を感動させるつもりか。

「よし、ティーナさんところに行くぞ」

「はあ?見張りはどないすんねん?」

「後でいいぜ」

「一人で行くわ」

「お前の場合、行かなさそうだから付いて回る」

「小学生ちゃうねん」

お前は立派な小学生だよと心の中で言っておく。

「小学生だろうがなかろうが、関係ねえよ。行くぞ」

俺が刹那の前を歩く。

「何なん。またその場しのぎなん?」

刹那は意固地になって動こうとしない。

まさか、自分せいで状況を見逃すなんて事になってほしくないとか思っちゃってるのか。

「ティーナさんところに行くだけだ。すぐ戻るっつうの」

怪我を放置するのはよろしくない。

「ち」

俺は刹那をお姫様だっこし運ぶ。

体は悲鳴を上げているが我慢だ。

「ちょっと!」

「そんなに見合いを見てほしかったら、さっさと今の事を済ませるんだよ」

「恭耶、見合いがおかしな方向いったらどうすんねん!」

「世の中にはな、臨機応変っていう言葉があるんだよ」

軌道修正を効かせていけばいい。

「俺は約束を守る。でも、お前の怪我したのを見て見ぬフリしておけるかよ!」

たとえ屋敷が広くても、ティーナさんのいる場所は遠くはない。

「あんたはあほや」

「今のお前に何言われても痛くねえぜ」

俺はティーナさんと佳奈子さんがいる部屋の障子を開く。
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