第七世界
「ティーナさん!」

ティーナさんと佳奈子さんは、二人でお茶をしながら将棋を打っていた。

「ティーナ、日本の文化をマスターしてる」

頭を抱え佳奈子さんが唸る。

「佳奈子さんもいい腕してると思うよー」

「勝者の余裕ね!」

佳奈子さんが駒を進める。

「あ、王手だよー」

「ちょ、ちょ、ちょっと待って!五手くらい戻していいよね?」

二人のやり取りを見ていたが、それどころではない。

「二人で楽しんでるところすまねえが、刹那の手を見てもらいてえんだ」

「刹那ちゃんの手がどうしたのー?」

ティーナさんが近づいてきたので刹那を降ろす。

「これくらい何でもないわ」

手を隠そうとするが、其れより前にティーナさんは見終えていた。

「治療が必要だねー」

「頼むぜ」

俺は背中を向けて、部屋から出て行こうとする。

「ちょい待ちいや。ボクもいく」

「お前は治療してから来い」

刹那のことだからすぐさま来るんだろうが、ティーナさんは医者だ。

無理はさせないようにしてくれるだろう。

「ほんま、あんたは勝手や」

「俺はお前に無理させるわけにはいかねえんだ」

「自分のこと棚にあげて、何言ってるん」

刹那の言うとおりだ。

俺自身も相当きついが、治療は意味を成さない。

俺自身の生まれ付いての血でどうにかする以外、道はない。
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