第七世界
刹那を探す事、数十分は経っただろうか。

自分の中の体内時計を信用したくない。

「楓と落ち合った方がいいか?」

諦めかけていると、先ほど別れた面影を前方に見かける。

「刹那、淫らな格好してどうした?」

刹那の豹変した格好に驚いた。

上に学ランを羽織って、太ももが露になっている。

闇の中に白さが際立っていた。

俺は幼稚園児の太ももを見て、何を興奮しているんだろう。

「どこみとんのじゃ、ボケ!」

刹那の怒涛の拳が顔面にフルヒット。

数秒後には顔がぼこぼこに腫れ上がる。

「今までどこに行ってたんだよ?ずっと探してたんだぜ?」

「ボクの事なんてどうでもええと思ってる奴に教えへん」

赤面して涙目になっている。

きっと何かあったんだろう。

「とにかく、無事でよかったぜ」

俺は理由を聞かずに刹那の頭を撫でる。

人には言いたくないことだってあるんだ。

無理に聞くのも野暮ってものだ。

刹那は抵抗することなく、しばらく撫でられていた。

俺達は胸に思いを隠して家に帰る。
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