第七世界
家に到着すると、刹那は身体を温めるために風呂に入った。

その間に楓に連絡をいれて、一連の作業を終了させた。

終わったのはいいが、気まずい空気は否めない。

風呂から出てきたらどうするか迷っていた。

時間は過ぎるものであり、刹那がいつまでも風呂に入っているわけがない。

湯気を立たせた刹那がピンクのパジャマを着て、風呂場のある方から俺がいるリビングに歩いてくる。

「ええ湯やったわ」

「そうか」

それ以降無言で、刹那は俺が座っているソファーの隣に座った。

刹那にとって、気まずさは関係ないのか?

だが、それは思い違いもいいところであり、深刻で悲しそうな顔が傍にあった。

刹那の悲しそうな顔を見ると何も言えなくなる。

何か考えないといけないけど、悲しい顔とは別に良い匂いがして戸惑っている。

不謹慎な俺がいるようだ。

俺はどうしようもない程駄目な奴だった。

時計の針だけが音を刻む。

しかし、無音の世界を終わらせるように刹那が声を上げた。

「ボクの荷物、届いとった?」

長く続いていた沈黙を破った割には軽い。

吉本に引けを取らずにこけそうにもなったが、深刻さがなくて安堵する。

「いや、まだだ」

「そう、なんや」

元気がない姿が続投。

最初の頃のように元気がないと調子が狂う。

自暴自棄になりたくなってきた。

でも、それは許されない。

疲労を負っているのは俺じゃなくて、刹那なんだ。

「今日はもう休めよ」

「恭耶、今日は一緒に寝てや」

「は?」

刹那のしおらしさが増しているように見えた。
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