第七世界
「ぐぎ」

脳震盪を起こすどころの騒ぎではないほどの痛みが襲う。

頭が割れて、血が噴出す。

頭が潰れていないのが不思議なくらいだ。

意識が一瞬飛びかける。

「皆木さんが抵抗をすれば、鷹威君に危害を加えるが?」

俺を引き合いに出して、抵抗させなくするつもりだろう。

「そこのいけすかんボンボン!いい加減にしいや!」

近距離ではなく、長距離にいる刹那が構えている。

「ボクは、約束を守る恭耶を守る!」

「私は皆木さんとともに歩みたいといっているだけだ」

頭を押さえつけている腕の力が強くなる。

「すぅぅぅ」

刹那は大きく息を吸い込み。

「百歩神拳!」

怪我をしている拳を前に出しながら、握られた拳を開く。

一陣の風が吹き、牙狼が後方へ吹き飛ばされる。

よく見れば血管から血を噴出している。

刹那がいつの間に遠距離からの攻撃という高等な技術を身につけたのかが謎である。

だが、攻撃をしたはずの刹那の手から血が飛び散った。

「ぐ、いつ」

「刹那!」

そして、胸を押さえて、その場に座り込む。

知らず知らずの内に鷹威の力を使い、体に相当なダメージを与えていたようだ。

痛む頭に喝を入れ、俺はゆっくりながらに立ち上がり刹那の元に歩く。

その背後で牙狼が立ち上がった。
< 270 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop