第七世界
「代えの服は持ち合わせていないのだが」

血だらけだが、傷はふさがっている。

異常なまでの回復力を持つ鬼だ。

「鷹威の血は侮れないな」

刹那に向かって歩き出す。

「格闘できないくらいに壊しておくか」

標的が苦しんでいる刹那に向かっている。

「くそ、が」

刹那にもう少しでたどり着く。

しかし、速くたどり着いたのは、牙狼だ。

「私は忠告したはずだ。それを無視して攻撃したとなれば、自分が狙われてもいいという覚悟があったからだと私は思っている」

楓とティーナさんの二人は、ボディーガードの相手をしているために身動きできない。

うずくまっている刹那を上から見下ろす冷たい視線。

「刹那あああぁぁぁぁぁぁ!」

大声を出しても速くはならない。

障子を破って、刹那を守るように牙狼を狙って拳が飛ぶ。

牙狼はその腕を受け止めた。

「あら、やだわ。障子の代金はそちらに請求しようかしら」

声の主は佳奈子さんだ。

「鷹威の血を持つ者に加勢をすると、自分が苦しくなるだけだとは思うのだが?」

「だって、佳那美ちゃんがさ、恭耶君や刹那ちゃんがいなくなったら悲しむじゃない?そしたら、愚痴を聞かされるの私なの」

「ならば、手出しをしなければいいだけの事」

牙狼が佳奈子さんの手首をひねり、体を回転させ天地を逆さまにさせた後に当身を行う。

佳奈子さんが庭に吹っ飛ばされた。
< 271 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop