第七世界
その様子を心配した、乃亜と玄魔は牙狼の元へと寄る。

ティーナさんもチャンスとばかりに瞬時に俺と刹那の元へと寄った。

「恭耶君、傷を治すよー」

「力を使っちゃ駄目だ」

ティーナさんは首を横に振った。

「ここからじゃ、片腕の治療を施すには時間がかかりすぎるよー」

「楓も何とかいってくれ」

遠くに居る楓は何も言わない。

「どうしたんだよ」

「まさか本当に覚醒させるとは思っていなかったのだがね」

信用されてないようだ。

「まあ、腕を軽くくっつけるくらいの時間なら些細な問題だ」

楓はティーナさんに腕を放り投げた。

その間に、ボディーガード二人は牙狼に下がるように促していた。

牙狼自身はまだやる気ではあるようだが、やむなく下がる事に決断したらしい。

「皆木さん、君に対しての気持ちがなくなるわけじゃない。また迎えにこよう」

「次は少しくらい譲歩する気持ちを持ってほしいものだがね」

牙狼とお付は背中を向けて去っていった。

ティーナさんは軽く治癒の力を使い、俺の腕はくっついた。

刹那は気を失っている。

俺を助けるために無理が祟ったようだ。

「刹那」

「しばらくは安静にするしかないよー」

ティーナさんはそっと刹那を抱きかかえて、部屋の奥へと連れて行く。

「あのー、私も助けて欲しいんだけどー」

庭で寝そべっている佳奈子さんは、見事なまでに放置プレイとなっていた。
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