第七世界
「おっと、授業が始まっちまうぜ」

俺は刹那の襟首を掴んで、教室へと退避する。

「これ以上制服がぶかぶかになったらどないすんねん!」

人中に掌底を決められる。

「ご!って、お前、明らかに仕留めにきてるだろ」

鼻血をたらしながら、抗議する。

制服が少し伸びるくらいで、鼻をやられるのでは代償がでかすぎる。

刹那は服を直しながら、俺を無視して席に向かった。

楓が来る前に席についておかないと、面倒ごとが増える。

そう思い席につくと、楓が入ってきた。

「そこの男子生徒、廊下に立ってろ」

入ってくるや否や、俺を指差して意味のわからない事を言い始める。

「ちょっと待て、今日は優良な生徒としてちゃんと登校して、教師が来る前に静かに席に座っていたぞ」

どう考えても罰せられる部分がない。

「残念だ、教師である私が多忙で苦しんでいるのに、生徒である君は一緒に苦しんでくれないというのか?」

「待て、お前、それ仕事だろ。生徒の本分を忘れてらっしゃらないか?」

楓は何故、俺に勉学に励まそうとしないのか、謎が多い。

「君なら出来ると信じているからだ」

「見え透いた嘘を」

「仕方ない、君には失望したよ」

最初から期待もされてなかったような気もするがな。

楓は忙しいらしく、出席を確認すると教室から出て行った。

「なあなあ、皆木先生、ちょっとつかれて」

「俺はお前に絡まれて疲れてるんだが、それの責任についてはどうしてくれるんだ?」

「相変わらず、お前は冷たいな」

モブのいう事はスルーしながら、俺は授業の準備を行った。
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