第七世界
ちなみに、犬子の席は遠い離れた場所に移動した。

むしろ、俺がさせた。

一限目、現国。

平和だ。

のほほんとした教師がのほほんと授業を行う。

休憩時間。

犬子がいきなり発情した犬のように飛びついてくる。

「恭耶、恭耶、連れションいこ!」

犬子の脳みそは男女の識別が出来ないくらい重症らしい。

秋だからな。

「ほら、二人ですれば怖くないっていうよ!」

「お前はアホか?いや、アホ以前重症だ!もう一回入院してこい!今度は精神科に!」

小便をする事に対して、なにに恐怖するというのか。

恐ろしいまでに常識が抜け落ちているような気がする。

「やだなあ、冗談だよ、本気にした?」

舌を出しながらお茶目を気取ってるが、どうやっても殴りたくなる。

「なあ、刹那」

「何や?」

次の授業の準備をしていた刹那は不機嫌そうに俺のほうを向いた。

ちなみに刹那は斜め前の席だ。

ヒステリックなところはあるが、授業に対しては静かに真面目に受けている。

皆勤賞を目指していただけはある。

「こいつと一緒に連れションいってくれ」

「恭耶がいけばええやろ、そこらへんの茂みでしてこればええやんか」

非常に棘があって冷たい。

「刹那ちゃーん」

「猫なで声出してもあかん。そんなストロベリートーク繰り広げられるのうっとうしいわ」

連れションの会話のどこに甘酸っぱさがあるのか。

俺は被害を受けているだけに過ぎない。
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