第七世界
弁当箱の中身は、普通の料理だった。

中身は刹那のとそう変わりのない物だ。

俺は弁当箱についている箸を使い、唐揚げから食べていく。

先ほど食べた唐揚げと一緒で、美味しさは変わりない。

「刹那さ」

「何や?」

「ここまで作れて、まだ創作料理しようなんか思ってんのか?」

最初の時よりも配分がよくなっているらしく、美味しさはあがっている。

「創作料理で全国支配や」

あの料理なら生物兵器として使用するなら支配する事は可能だろう。

しかし、レシピ通り作って美味しくなるというのに、アレンジを加えるとたちまち悪夢を呼び起こすのも不思議な話である。

脳の回路がどこかでショートを起こしているとしか思えない。

「お前なぁ、毎回思うけど創作料理で一度でも自分の舌を納得させた事あんのかよ?」

「あらへん!」

自信に満ち溢れた返事だ。

「自分で納得しない物をほかの人間が食べてくれると思ってんのか?」

「おるやん、そこに」

真顔で俺を指差すもんだから、末恐ろしい話だ。

「俺だってそこまで頑丈じゃねえんだぞ」

「大丈夫や、初期料理で死んでないんやから、今の上達したボクの中級料理やったら死ぬ事はない」

体に悪玉菌がたまり過ぎて、いつかは複雑な病気をもらって死ぬのではないんだろうか。

「はあ、お前なあ、もしそれで俺が死んだらどうすんだよ?」

「その時はその時や、盛大に泣いたるわ」

嘘か本当かは全く持ってわからない。

料理の事でこれ以上何を言っても、刹那には意味がない。

俺は、普通に出来た奇跡の料理を静かに食べ始めた。
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