第七世界
「ごちそうさん」

弁当箱に蓋をして、手を合わせる。

「ちゃんと野菜まで食べるんや」

「基本的にまともな料理だったら、好き嫌いはないからな」

「あんたの舌もいつかはボクの創作料理に支配される」

悪童ここに極まれる。

表情がもはや、悪に満ち満ちている。

「まともになったら、そうなるかもしんねえな」

他人を喜ばせるという心を持っていなければ、一生かかっても無理だろう。

そういえば、楓は料理の面においては素敵な力を持っていたな。

悪意に満ちた性格である事においては、一二を争うけどな。

料理の事は楓に聞いてくれといいたくなる。

時間を見れば、すでに昼休みが終わりそうだ。

「よし、教室に帰るか」

「昼から学園祭の出し物を決めるんやったな」

すっかり忘れられてはいるが、皐月鳴高校はマンモス校であり、クラス数も他の高校とは違う。

だから、出し物の数も相当で、被る事が多い。

ちなみに、俺がいたクラスの去年の出し物はパンスト喫茶だ。

セクハラ紛いの名前でしかないし、女子や学校側がよく了承したなと思えるが、パンストを穿いていてスカートなら上の服はなんでもありだ。

お触りはなしだが、値段は他のクラスよりも高い。

ようはぼったくりそのものである。

ちゃんと値段は表示してたし、接客もきっちりとこなしていたから、苦情が来ることはなかった。

メールアドレスを聞いてくる客がいたが、楓が裏に呼び出してしめていた。

男子は裏方で外観を作ったり、必死になって料理を作ったりしていた。
< 295 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop