第七世界
「そこの男子、書記と進行役をやるんだ」

楓がチョークを投げつけてきたのを、俺は受け止める。

「おい、ちゃんとした学園祭の委員は設立されてるはずだぞ」

「君が単位をとるチャンスだ」

「は、はあ?」

「委員の君たちもそれでいいだろう?」

自分のクラスの学園祭の委員は推薦で、自分からやりたいという意思がない。

楓の言う事を聞くのは目に見えていた。

「いや、でもだな、クラスの意見とか、委員の集まりにいくのはその二人だろ?」

「負担は分担したほうがいい」

「お前は何を言ってるんだ、後でいやってほど負担がかかるんだから、それくらいしろよ!」

「単位がいらないのなら、やらなくてもいいのだが?」

ここで単位を取らなければ、後で取るチャンスはないだろう。

一年もギリギリで進級したのだ。

二年もこういった場所で単位をとらなければ、後はないだろう。

「やればいいんだろ」

俺は黒板の前に立ち、案を聞く。

「おい、俺の背後のモブ、何かねえのか?」

「鷹威よ、こんな時ばかり頼るなよ」

自分が当てられるなどと思っていなかったようで、狼狽している。

「わかった、お前はモブであることから逸脱する気がないんだな」

「ちょっと待て!ええっとだな」

「すまん、お前の時間は打ち切りだ」

「まだ、数秒も経ってないだろ!」

その後、他のクラスメイトがいくつか案を出す。

喫茶、お化け屋敷、占い屋敷、按摩、屋台、舞台などだ。
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