第七世界
「本当に助かるよ、ここまで綺麗にしてもらえるなんて」

涙を流しながら便所をこする。

役目とはこの皐月鳴高校全ての掃除だ。

遅刻だけでここまでさせるのかと思いながらも静かに磨いている。

ふと、疑問が湧いたので楓に聞いてみる。

「あのよ、掃除してる時間の授業はどうなるんだ?」

「もちろん欠席だ」

「おーいおいおいおいおい!ちょっとまてよ、普通なら出席のはずだろ!」

「仕方がないよ。お前が遅刻してきたのが悪いんだろ」

「勘弁してくれよ!出席数やばいんだぜ!掃除と俺の進級どっちが大事なんだよ!」

「そんなの決まってるじゃない。もち掃除」

何もかも話すのが嫌になり、諦めて掃除を終わらせる事にした。

掃除を終了させ、いつか痛い目に合わせてやると思いながらも教室に向う。

教室で待ってたものは教師の説教だった。

欠席になっていたせいだ。

楓よ、掃除やってるんだからちゃんと言っとけよな。

説教が20分ぐらいで終わり、やれやれと思いながら着席する。

ゆっくりできると思ったら、後ろの席のやつから話しかけられる。

「お前も大変だな」

「大変と思うのならお前がやれ」

「遠慮しとくわ」

解りきった答えが返ってくると思ってたので言葉は聞かずに机に伏せて寝る。



何分寝たのだろうか。

起きてみるともうみんないなくなっていた

帰ったんだろうと思ったら誰かが教室に入ってくる。

見覚えのある顔、よく見るとそいつは楓だ。

「まだ残ってたのか。生徒は下校する時間だぞ」

「誰のおかげで遅くまで残ってると思ってるんだ」

「さあ、誰かしらね」

言い合いを避けるためにそこで止めた。

「それにしても今何時だ?」

「今?9時よ」

「9時っつうんなら教師も帰る時間じゃないのか?」

「今日は宿直なんだよ」

明らかにだるそうだ。
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