第七世界
「俺がお化けの役をすると思ったら間違いだぜ」

「その勘違いこそが間違いだよ」

「は?」

この女は何をトチ狂っているのか。

何をもってそういっているのかが、わからない。

「鷹威君のところの担任は誰かな?」

「あー」

そういえば、本当にトチ狂っているのは、佳那美ではなく独裁者である楓だった。

どうせ単位を引き合いに出して、俺をお化けの役をふっかけるに違いない。

当日は仮病を使うか、刹那の料理でも食べて具合を悪くしてやろうか。

「大丈夫だよ、よっぽどの事がない限りお化けに危害が及ぶ事なんてないんだからさ」

「その暗闇に乗じてよっぽどの事を起こそうとしている奴がいなけりゃいいけどよ」

俺がジト目で佳那美を見る。

「ん?私が鷹威君を襲うとでも思ってる?」

視線に気づいた佳那美は邪悪な笑みを浮かべる。

「心配しなくてもいいよ。襲ったとしても鷹威君なら死なないと思ってるからさ」

結果的に襲うんじゃねえかよ。

当日は特殊な人間はお断りの札でも立てておくか。

「じゃ、私はバイトがあるから」

二手に分かれるところで佳那美は佳奈子さんの喫茶店のほうへと走っていった。

先を考えると憂鬱になるな。

「鷹威恭耶」

「ああ?」

黒い影が上空から降ってくる。

それを後ろに回避すると休むことなく、黒い影が突進してくる。
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