第七世界
「ほら、腹減ってるなら好きなだけ食べ!」

どっさりと置かれた、ホラーディナー。

特に気合が入っているらしく、目を覆いたくなる。

以前は創作料理も食べられたレベルまでなっていたのに、どうしてこうなったのか。

乃亜もこの世の物とは思えないような代物としてみている。

「なんや、くえんっちゅうんか?」

刹那は輩に変身した。

「しょうがないな、俺が食わせてやるよ」

刹那が痺れを切らせて、俺に食えという前に食わせるしかない。

「待ってちょうだい」

初めて口を開いたが、待ったはなしである。

俺が助かるためには、これを乃亜に食べさせるしかないのだ。

「はい、美味しいぞー」

乃亜にレバーブローを入れ口を開いたところで、スプーンの上に載ったホラーを口の中へ運び込んだ。

「ぐひ!」

女とは思えないような苦痛にもだえる声を上げた。

「どうだ、美味しいだろ?」

「ごめんなさい、ごめんなさい、さっきの事は謝るから、二口目は」

本気で嫌がっているが、まだ残っている。

「タイミングを間違えるとさ、後悔する事ってあるよな」

俺はスプーンを掲げ、熱弁する。

「後悔っていうのはどんな時だって付きまとうんだ、それがタイミングを間違えなくてもな。でもよ、タイミングを間違えた時と間違えなかった時の後悔ってのは大きさが違うもんだ。そう、後悔のない人生なんていうのはないんだ。乃亜、お前は大きな後悔を選んだ。そう懺悔したところで取り戻しようがない後悔をな」

そして、もう一度、乃亜にスプーンを近づける。

顔を背けるが今度はこちょばして、無理やり口をあける。

二口目でさらにグロッキー状態になってしまう。

もはや、拷問状態である。
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