第七世界
光蔵の成績はいいほうとはいえないが、中をキープしていた。

授業態度も悪くはないが威圧があったために普通の教師は授業をやりずらく、当てられる事はほとんどなかった。

ただし、皆木楓の授業になると、積極的に当てられる。

「そこの帽子を被った君、これを答えてみるんだ」

楓が難しい問題を出しても、光蔵は答える。

「君は強いが面白みがないな」

鬱憤を晴らすかのように他の生徒に対して答えられない問題を飛ばし、いじる。

災難にあった生徒が光蔵や楓に非難できるわけもなく、静まった。

昼休みまでの授業が終わると、母親の弁当を自分の机の上で食す。

プロのような強さを持つとはいえ、人間であり学生であるから、食事は一般人と代わり映えしない。

食事を済ますと席を離れる。

廊下に出ると長い棒を持つ海江田と鉢合わせた。

「くく、乾さぁ、何か面白い事ないかい?お前と戦うっていうのもありなんだけどさぁ」

「今の危険な状況で安易に敵に喧嘩を売るな」

「いいねぇ。腕を存分にふるえる状況なんだろ?」

海江田は光蔵の言葉を疑うことないが警告としては捕らえてもいない。

「死ぬぞ」

「くっくっく、面白いじゃないかぁ、お前が言うからには相手は人間じゃないんだろう?」

棒を遊ばせながら、今か今かとその時を待っている。

「一つ言っておく、落ちている仮面を見つけたら即破壊しろ」

「それを壊したら僕の楽しみがなくなるじゃないか」

「お前が犠牲になる事に対して何も言わん。だが、それで二次災害でも起こしてみろ。お前を狩るのは俺になるだけの話だ」

冷たい視線で海江田を睨むが、当の本人は気味の悪い笑顔を変える事はない。
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