第七世界
「おい、刹那、今日の俺の弁当はどうしたんだ?」

「は?何で毎日作らなあかんの?」

そういいながら、刹那と呼ばれる小柄な少女は自分の弁当を食べていた。

「人は一度作ってもらうと期待するんだよ、これはわかるよな?」

その少女に一生懸命、弁当の事について説明しようとする髪の毛がぼさぼさの男子生徒。

「期待されるって事は嬉しいもんだろ?それをよく考えるんだ、というわけでそのおかずをくれ」

「近代まれに見るたかりやな」

伸びる手を肘鉄で机とはさみ、骨をすりつぶそうとする。

「刹那ちゃん、俺はSMについて熱く語りたいわけじゃないんだぜ」

脂汗を流しながら笑顔で肘を離すように訴えかけるも、刹那は無視して飯を食う。

「鷹威」

光蔵は少女と戯れてる男子生徒である鷹威を入り口で呼んだ。

「ああ、乾先輩じゃねえか」

鷹威は他の生徒とは違い、光蔵の事を恐れはしない。

刹那の肘鉄をかわした鷹威に学園にはいない鬼の気配を感じた。

「最近、鬼に近づいたか」

「ああ、殺されかけたぜってよくわかるな」

「ニオイだ。それに、お前は鬼と縁がある」

「そんな物騒な縁、誰がどうみても必要ねえだろ」

鷹威は軽口をたたきながら、刹那のほうを見る。

「弁当が入手出来ないんで食堂にいきてえんだがよ、俺に何か用かよ?」

早速、ポケットから財布を取り出していた。

「吸血鬼の仮面について分かる事があったら知らせろ」

「ああ、乃亜が言ってた奴か」

「情報くらいは知っているようだな」

「俺は知りたくなかったんだがな。そもそも、そんな物に関わったらろくな事にならねえってのは誰でもわかんだろ」

誰が見ても面倒なそぶりを見せ、やる気はない。
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