第七世界
「仮面の事を知ってるって事はだ、先輩も鬼に近づいたって事じゃねえのか?」

「ああ」

隠す必要はなく、光蔵は素直に答える。

「なら、大して持っている情報はかわらねえさ。鬼の仮面がここら付近に落ちている。なんでも、その仮面は先輩が追いかけていた妖刀と同じで意思があって、強い者の元へ行くってな」

「お前の元に行くかもな」

「はあ?俺は鬼とは真逆の性質を持ってるんだぜ?そんな仮面が俺のところに来るか?」

「強い者という点だけで考えれば可能性はなくはない、そう思っただけだ。邪魔したな」

光蔵は鷹威の元から離れる。

「でもよ、俺より強い四天王の誰かのところに行くかもな」

後方で言った鷹威の言葉で光蔵はふと思い出す。

四人の内、三人は仮面の事を知っている。

しかし、一人だけ仮面の事を知らない人物がいた。

「キャサリン」

光蔵はキャサリンの望みを知っている。

『永遠の美』。

キャサリンが今まで吸血鬼とならない理由を光蔵は知らない。

しかし、仮面が誘惑する者だとすれば、キャサリンがうなづくかどうか。

教室に戻り、刀の袋を肩にかける。

そして、三階の窓から飛び降り、途中の窓でうまい具合に足をかけて落下していく。

校庭に辿り付いた時に、周囲の人間は光蔵のことを見ていたが、すぐに目をそらす。

光蔵は近くにいたキャサリンのクラスの生徒に声をかけた。

「柳生はどこにいった?」

「え、えっと、早退したと思うんだけど」

「ち」

いつもよりすばやく足を校門へと向けた。
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