第七世界
校門の前には楓の姿がある。

「皆木教師」

「鬼の仮面を探してるんだろ?」

校門前の道路に駐車している車を親指で指差した。

「出来る限り厄介ごとは潰しておきたくてね、円満な学園生活を送るにはそれが一番だと思っている」

光蔵が扉を開くと二人の男子生徒が先に乗車していた。

「楓よ、普段日ごろから教師の虐待によって授業を受けられない生徒がいる事について、どう説明する?」

「君の生まれ持った血に文句を言えばいい」

鷹威は後ろで手を縛られ、強制的に乗せられていた。

「くく、やはり来たか」

鷹威の奥には海江田が腕を組みながら乗っている。

「面白い事に出会えるんだ、こんな愉快な事はないんだよねぇ」

キャサリンが人間を止める事を望んでいるかのように笑う。

「早く乗りたまえ」

「ああ」

光蔵は助手席に乗り込んだ。

「さて、行くとしようか」

エンジンをかけて、アクセルを踏んだ。

「しかしよ、もし、四天王についてたとしてよ、どこにいるのかとかってわかんのかよ?」

「駅前だ」

「くく、それは楽しくなりそうだ」

海江田はあまりの楽しさに震え始めていた。

通り過ぎていく町並みは変わらない。

しかし、今も変わろうとしている一つの世界に光蔵はよからぬ気配を感じている。

「俺にとっちゃ面倒でしかねえよ」
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