第七世界
「ムキにならんでええやん。恭耶は好きなようにすればええ」

俺は心配してるだけで、子供扱いをした覚えはない。

ムキになっているのは刹那じゃないか。

「ちょっと待てって!!」

疲れてるのにも関わらず、ペースを上げようとする刹那。

しかし、俺のほうが歩調が大きいので、すぐに追いつく事が出来る。

「ついてくんな!あんたに教えて貰うんなら一人で行ったほうがマシや!」

姿形も幼稚園なら性格まで幼稚園だな。

疲労で倒れられても困るし、強硬手段を取ることにした。

「ちょっとは頼れ!この馬鹿!」

後ろから抱きしめて、そのまま姫様ダッコの形に持ってくる。

「あんた、しつこいねん!!」

生きているマグロのようにジタバタするけど、何とか落とさないように堪える。

「ジタバタすんな!」

「余計な世話なんか焼かんと好き勝手したらええねん!」

「だから、好き勝手してるだろうが!」

刹那が墓穴を掘ってしまったようで、少し静かになる。

「あのな、後でおいしいもん食べさせる約束があるんだし、倒れて食べられないっていうのは嫌だろ?」

「うん」

ムスっと不機嫌ながらにも、素直に頷く。

「だったら、素直に従え。出来るだけ人に見つからねえようにしてやるからよ」

「君達、仲がいいな」

「「おわ!」」

速攻、人に見つかってしまった。

しかし、見つかったのは見知らぬ誰かではなく、知り合いの楓であった。

「今日はちゃんと学校に来てるんだな」

いつもサボリを決め込んでいる昼行灯なのに、休日にいるとは珍しい。

「ほう、君はそう思っていたわけか」

刹那を抱えてる分、好き勝手しないほうが良かったかもしれない。

しかし、刹那を抱えているおかげで、強力なデコピン一発で終了した。
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