第七世界
脳震盪を起こしそうな程の痛みを我慢して刹那を下ろした。

「休日に学校にくるとは、君はそこまで真面目な生徒だったか?」

「ちゃんと授業を受けさせてくれない教師がいるせいで不真面目のレッテルを貼られているんだが、どうすればいい?」

もちろん、目の前にいるバーサクがかかった女の事だ。

「君は私が原始人並の脳しかないと思っているんだな?」

ハイキックでさらに闇に落ちそうになるが、ギリギリチョップで現世に留まる。

「何だ、刹那の案内か」

解ってて、さっきの無意味なやり取りをしたのか。

性格悪いぞ、この原始人。

「ごはあ!」

唾が飛び散るほどのボディーブローで、視界が揺らぐ。

「恭耶じゃ何かと失礼を働くだろう、学校内でよければ私が案内しよう」

「ほんまに?」

「君が恭耶と行きたいというのなら、無理強いはしない」

「ううん!楓と行く!」

あっさり承諾するなんて、恨みは深いようである。

「刹那、後で校門でな」

「ふん」

二人は、俺を無視するような形で進んでいってしまった。

今日一日で、刹那の怒りを何回買っただろう。

解らないほどなんだから、俺じゃなくて楓と行きたくなるわな。

「どうするか」

少し休まないと危機に陥ってるのは言うまでもない。

体を引きずるように保健室まで歩いていき、辿り着いた頃には限界が近い。

これで鍵が開いてなかったら、廊下で横になるだろう。

しかし、優しい誰かが鍵を開けていたおかげで、中に入る事が出来た。

喋る事に気力を使いたくないので、無言でベッドに向かう。

そして、整えられたベッドの上に気を失うように倒れた。
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