第七世界
しばらくして、扉が開くとショートカットで皐月鳴の制服を着た女が入室してくる。

「あれ?」

女は、普段は閉まっていないベッド周りのカーテンが閉まっている事を不思議がっている。

「ははーん、何かが隠れてるはずだわ」

何がいるのか解らないので恐る恐る近づき、一気にカーテンを開く。

「ただの男子か、なんか期待して損した」

ベッドの端に腰をかけると、恭耶の顔を見つめる。

「でも、この子の寝顔、可愛いわね」

女が恭耶の顔を優しく撫でると、怒声が部屋の中を支配する。

「美祢!何さぼってんのよ!」

美祢の名を持つ女性はベッドから離れ、恭耶を隠すように咄嗟にカーテンを閉めた。

「私がどこにいようが勝手でしょ」

美祢は茶髪ロールの女らしき者に対して面倒くさそうな態度をとる。

「ええ、勝手よ!でも、今は会議中なのよ!!」

「相変わらず頭が固いわ」

「その言い方はないんじゃないの!皆、学園のために必死で考えてるのよ!!」

美祢にとって、学園を変革するための意志は強くない。

「なーんか、窮屈なのよね。考え方も古臭いしさ」

「四天王としての自覚がないわね」

「それさ、呼び名からしてダサくない?もっと格好よくしたらいいと思うんだけどさ。それより、最近新しい男を作ろうとしてるわよね?あー、何だっけ?後輩の二ノ宮だっけ?キャサリンさ、カマなんだから、フラれるのがオチだって」

美祢はキャサリンとのやり取りをしながら、ポケットから携帯を取り出す。

「私と二ノ宮君の愛は不滅なのよ!」

「ま、いいけど、っていうか、私はパス。3人で会議やっといてよ」

美祢は保健室に来た用事を済まさずにメールを打ちながら保健室から出ようとする。

「いい加減にしなさいよ!この暴力ゴリラ!私知ってるわよ!最近、男に振られたんでしょ?だから、私と二ノ宮君の事、嫉妬してるのよね?」

「あ?」

次の瞬間、美祢のコメカミには青筋が誰の目にも解るように立っている。
< 39 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop