第七世界
「楓を襲う奴もいないし、安心してもいいと思うぜ」

「それってどういうことかしら」

楓がポキパキと指を鳴らす。

本能がやばいと警告を出している。

「好きなようにとってくれていいぞ。今日は忙しいからさいなら!」

逃げるようにダッシュで教室から退避する。

「まちんしゃい!何もしないからさ!」

おもいっきし嘘だろう。

楓が鬼気迫る勢いで追いかけくる。

「これだから短気は困るんだよな」

文句を言いながら走っていると、曲がり角で人と衝突した。

「あいつつつ」

目の前には服装や髪を乱れさせながら女子が倒れている。

「何やってんの?」

俺の後ろには追いついた楓がいる。

楓は俺が一人でこけたと思っているのか。

「前に人が出てきたんだよ」

楓が前に出て女子の様子を伺った。

「気を失ってる。保健室まで運ぶしかないな」

「後は任せたぞ」

「あんたが運ぶの。ほら、さっさとしな」

「えー!なんで俺が!」

「君がぶつかったんだし、家に帰っても暇なんだろ。さっきの続きしたっていいんだよ」

「運ばさせてもらいます。お願いします」

気だるく女の子に近づくと、けつを蹴られる。

「面倒臭そうにやるんじゃない!さっさとせえ!」

何でここまでされなきゃならんのだ。

女子を背負いながら保健室に行く途中、顔が気になった。

どんな子なんだろうか。

暗くてあんまり見えない。

後で見てみるか。
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