第七世界
「ほら、座ろう」

佳那美が立たせようとするが、意地でも動く気配がない。

「あいつの横なんか、嫌や!」

「鷹威君も悪気があって言ったわけじゃないよ?」

「悪気がなければ何でも言ってええんか!?」

「刹那、お前な!」

あまりの駄々のこねように、段々腹が立ってきた。

「鷹威君!」

「佳那美?」

怒鳴った声に、きょとんとしてしまう。

「刹那ちゃんに謝って」

「何で?」

「理由は自分で考えるの!」

俺に悪い部分があったのか。

じゃなければ、刹那も怒らないと思う。

でも、子供のように駄々をこねれば、謝ってもらえるという事が気に入らない。

幼稚園児もいいところじゃないか。

何が原因では知らない。

周りに迷惑をかける、刹那が許せなくなってきた。

「鷹威君、刹那ちゃんのことを大切に思うのなら謝るべきだよ」

俺の心を読んで先回りしたかのように、佳那美が諭してくる。

「わかったよ」

納得のいかない事ではあるが、刹那を嫌いになったわけじゃない。

「刹那、悪かったよ」

「どうせ、気持ちなんか篭ってないんやろ」

怒りを通り越して呆れて、ついでに頭痛までしてくる。

「刹那ちゃん、それはないよ」

「あんたに何が解るんや!」

「本当に鷹威君が謝ってないと思う?」

刹那が涙を溜めた目で俺の顔を見る。
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