第七世界
「刹那、本当に悪かったよ」

「もうええわ」

俺が手を差し出すと、それを掴んで立ち上がる。

「恭耶、まだええもん買ってもらってへん」

「あ、ああ」

「それで勘弁したるわ」

「勘弁したるって、最初から約束だったじゃねえか」

「うるさい!ウチがええっていってるんやから、ええんや!」

これで仲直りってわけか。

しかし、一方的に怒られて、何となく解決なんて釈然としないな。

「なあ、佳那美、刹那が怒った理由、わかるのか?」

刹那が見ていないところで、耳打ちして聞いてみる。

「え?まだ解ってないの?っていうか、何でわからないの?」

「解らんもんは解らん」

「鈍いって!乙女心が解らないと愛想つかされるよ?」

「何話してるんや!」

自分がのけ者にされて不満だったのか、またへそを曲げているようだ。

「お前には関係の」

「コラ!この駄目男!」

俺の発言を遮った佳那美も怒ってしまったようだ。

「もう、ちょっとは考えてよ」

「俺にはさっぱりだな」

どうしてこう、俺が悪者ばかりになっているんだ。

佳那美が言うには俺が悪いのだが、見当がつかないんだよな。

この件に関しては拘るのは良そう。

「んで、佳那美は商店街で何してたんだ?」

「ちょっと買い物をね」

手には商店街にあるスーパー『ニクキュウ』の袋を持っている。

「家の手伝いか。家族思いだな」

「今の内から花嫁修業、なんてね」

今から花嫁修業するなんて、結婚願望が強い女なんだな。

だけど、そういう人に限って婚期を逃しそうだ。
< 47 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop