第七世界
長々と保健室まで歩いていき、到着すると疲れながら保健室へ入る。

「くそ、なんちゅう広い学校なんだ」

女子をベットに寝かせ、扉付近にある電気のスイッチを入れる。

「何とかってとこだな」

気づいたら楓の姿がない。

「人に任せて何処に行ったんだ、あの野郎。ま、いいか。それよりも、顔を拝借させてもらおう」

女子に向き直ると、ベッドの上で背を上げていた。

「もう起きたのか」

「さっき」

「そうか、にしても大丈夫か?」

「何がなんだかわからないけど、大丈夫」

怯えた様にしながら俺の顔を見ている。

「どした、俺ってそんなに怖い顔してるか?」

「ううん、そんなことないと思う」

「それならいいんだけど」

俺は女子の顔を穴が開くほど見る。

ちょっと可愛いかも。

羞恥心が働いたのか、女の子は恥ずかしそうだ。

「あの、えっと、恥ずかしいよ」

女子の声で我に返る。

「ごめんごめん。前にどっかで会ったことなかったっけ?」

「君とは初めてだと思う」

「俺の勘違いか」

おかしいな。

俺の記憶力は人並み以上なのだがな。

女子が初めと言ってるんだから初めてなんだろう。

今はどうでもいいことだ。

「そういや、名前聞いてなかった」

「亜双佳那美、2年A組」

「2年だったんだ。その背の高さから一年だと思ったぜ」

「気にしてることをずかずかと」

「背も今後は伸びることはないし、気にすることでもないって。俺は鷹威恭耶、2年B組だ。よろしくな」

「心に刺さることばっかり言ってるんだけど、もう、いいよ。よろしくね!」

笑顔でそう言った。

この太陽のような明るい笑顔は忘れることはないだろう。
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