第七世界
「学校の皆に聞いてみたら?お前がいると迷惑って、絶対答えるわ」

美祢は海江田の事を心底嫌っていた。

海江田も又、美祢の事を快く思ってはいない。

「どうせ、鷹威っていう奴も、お前が調子こいて一方的にやったんでしょ?それ、最悪じゃない?」

合コンを休んで会議に出なければならない鬱憤を海江田にぶつける。

「くく、君は憶測でしか物をいえないのかい?僕は正当防衛を行ったまでさ」

「は?武器を持ってるくせに、正当防衛が聞いて呆れるっつうの」

「くく、君も人のことは言えないんじゃないかい?」

「あ?」

「君の彼氏候補が女友達と一緒に君のためのプレゼントを買う場面を、君が浮気と勘違いして、何もしない相手を一方的に半殺しにして病院送りにしたんだよねえ。本当に、自分の事を棚に上げてよく言う」

「人の嫌な思い出ぶり返して面白いか?コラ?」

美祢の肘を置いていた机が軋み始め、最後には机を真っ二つに割ってしまった。

「クク、面白いねえ、やるかい?」

海江田が棍に手を伸ばそうとした時だった。

「やめろ」

乾のドスの聞いた声で空気に重みが加わる。

二人は居心地の悪い顔をしながら、乾を見る。

乾の帽子の奥にある瞳には殺気が混じっている。

「俺は情報交換を目的として四天王の召集をかけた。お前らの口喧嘩など聞くに堪えない」

二人は戦闘態勢を解いて、椅子に座りなおした。

「時間を粗末にするな」

重力を感じる程の空間は、乾が殺気を解いた事により軽くなる。

「他にないのか?」

我関せずと雑誌を読んでいた者、キャサリンが雑誌を閉じて口を開いた。

「皆木先生の動きは読めないわね」

「彼女は昔から読めない」

「ええ、でも、最近はそわそわしてるわよねえ」

「動きは見せていないが、見張りを立てる必要もない」

深く気にする素振りを見せずに再び瞳を閉じた。

キャサリンはやれやれと嘆息し、空気の重い空間で時間を過ごすのであった。
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