第七世界
「お前に用はない」

楓が動けないのを見計らったかのように、刹那に近づいていく。

「何やの、あんた、一体、誰やの?」

「今はまだ言えない。だが、お前の敵ではない」

「嘘つきなや!恭耶の事、こないにボロボロにして!何が敵やないや!あんたなんか天敵や!仇敵や!」

「一緒に来れば解る。お前は俺を忌み嫌う必要がなくなる」

「何やねん、その自信!ボクは、あんたみたいな奴のことなんか認めへん!」

恭耶を守るために、刹那が小さい身体で恭耶の体に覆いかぶさる。

「死にたくなければ、先を見通せ」

「うるさい!」

「相変わらずだな」

「え?」

刹那は油断したのか、仮面の男に何かを感じたのか。

仮面の男を睨みつけていた瞳が、少しだけ驚きに変わっていた。

開けた口を塞ぐ暇もなく、仮面の男は刹那の腕を掴んで自分の胸元に引き寄せる。

「ちょ、離して!」

暴れるが、筋肉を纏った腕には無意味でしかない。

「二度と追ってくるな。それがお前の幸せだ」

恭耶を見下ろしながら呟く。

立ち去ろうとしたものの、仮面の男は足に違和感を覚える。

それもそのはず、足を人の手が掴んでいた。

「やはり、タフな部分は認めなければならないな」

「待てよ」

恭耶は地面を這いずるような姿勢で、仮面の男を見上げていた。
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