第七世界
気がついた時には、刹那が仮面の男に抱きかかえられていた。

咄嗟に足を掴み、阻止しようとする。

「恭耶!大丈夫なん!?」

「めちゃくちゃ痛いっつうの」

腹にジンジンした痛みが続いている。

「でも、お前がどっかに連れ去られようとしてるのに、寝続けてる場合じゃねえだろうが」

よろめきながらも、何とか立ち上がる。

「またやられたいのか?」

「このボケ、刹那は置いてけ」

精一杯の虚勢で、仮面の男を睨みつける。

「そうか、お前もまた」

何かを呟いたが、聞こえない。

「いいだろう。だが、俺は再び現れる。その時に自分自身を制御出来なければ、俺は刹那を連れて行く」

仮面の男は刹那を優しく地面に置くと、背中を向けて去っていく。

「一体、何が目的なんだ?」

仮面の男が去ったおかげで、安心してしまったらしい。

足から崩れ落ちる。

「く」

「恭耶!」

刹那が傍に駆け寄って、肩を支える。

「問題ねえ、こんなもんカスリ傷だ」

「一発で沈んだくせに、何言ってるんよ!」

「ありゃ、わざとだよ、わざと」

刹那が俺の腹を突付くと、激痛が走る。

「くお、何すんだ!この野郎!」

「余計な心配かけさせんといてや!」

刹那は泣いている。

「すまねえ」

さっきは、俺も刹那もどうしようもない状態だった。

「仲良くやるのはいいが、そろそろ警官たちがこっちに来るぞ」

楓の声によって、一番厄介な問題が露呈した。
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