第七世界
そうこうしている内に、家に辿り着いてしまった。

家の鍵を開けて中に入り、楓をリビングのソファーにゆっくり座らせる。

「思ったらよお、家で治療の方法なんかあるのか?」

怪我は骨関係だろうから、俺達に出来ることはないんじゃないのか。

「よし、刹那、お前がやれ」

「何言ってるんよ。ボクにそんなテクニックなんかあるわけないやろ」

いきなりの事なので戸惑っているようだ。

「普段、人の体をボコボコにしてるんだから、体内の事くらい知ってるのが当然だろうが」

「そんな無茶苦茶な屁理屈が通用すると思ってるんか!」

器用にオーバーヘットキックを放って、頭上にめり込ます。

「ぐお!首が!」

首が凹んで、身長が低くなったかと思ったぞ。

「ふん」

「一応、恭耶も怪我人だ、そこまでにしといてやれ」

楓が俺達のやりとりを極悪な目つきで見ている。

「ほう、君はそう思っていたわけか」

苛立ちを表情に出さず、手元にあったマクラを俺の腹に豪速球で投げてくる。

「オウ、マイ、タランティーノ!」

虎の精神を持つ凶暴な二人がいるなんて、俺の人生は終わりを迎えるのか。

「楓、ホンマに大丈夫なんか?」

「私も武道家の端くれだ、直に動けるようになる」

まさか、ウル〇リンのような回復能力を持っているのか。

「そうでもない。明日は病院に行く」

サボっている分、病院なんか行かずに働いても文句は言われないぞ。

「ほんま、楓がこんかったら、どうなってたかわからへんかったわ」

「残念ながら、私は何もしていない」

「そうでもねえ。楓はいい時間稼ぎになったぜ」

俺が起きなければ、あいつの気は変わらなかったな。

ま、連れて行かれても取り返せばいいだけの話だ。
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