第七世界
「恭耶はそう言うけど、ボクと一緒におって、ボクのええとこ見つけられたん?」

多分、ここで答えがなければ、確実に刹那はゲンナリしてしまうだろう。

「お前のいいところ?そうだな、その小さな」

無言のボディーブロー。

今のは本当に死んでもおかしくはない。

「く、今のは冗談だ。お前の良い所は、天真爛漫なところだ」

「ほんまにそう思ってるんか?ボク、そんなに素直やないで」

「怒りっぽいところとか素直だろ」

「それ、褒めてへん」

ムスっとしてるところ、マイナスポイントばかりが溜まっているんだろう。

「しゃあねえな。性格で言えば、多少はわがままでも元気のあるところがいい。容姿でいえば、元気に連なるものがあるけど笑顔だぜ」

「今、考えたやろ?」

「それがお前の悪いところだぜ。簡単に人を信じるってえのはよくねえが、身内を簡単に疑うのもよくねえ」

「どうせ、恭耶もボクのこと疑ったりするはずやわ」

「だから、お前はボケなんだよ。俺の言う事を全て信じろとはいわねえけど、お前に嘘を言うつもりはねえし、お前の言う事も信じる」

「ホンマか?それ、信じてええんか?」

「お前な、今まで何見てたんだよ?こっちに来てから俺がお前に嘘ついたか?お前の事を簡単に疑ったりしたか?」

「ううん」

「だろ?」

「でも」

「でも?」

「何でもない」

刹那の元気のなさは相変わらずだ。

しかし、頭を掴んでいるせいで、顔を背けることが出来ない。

「途中で言うのを止めるな」

しばらくしてから、刹那の瞳が俺の瞳を真正面から捉える。

「ボクは恭耶と一緒におって楽しいと思いたかった。でも、自信なくなってきた」
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