第七世界
今日の目覚めは何か良い方だ。

夢のおかげかもしれない。

制服を着て部屋からリビングに向かう。

リビングに楓の姿はない。

楓は朝が強いんだよな。

先に学校に行ったんだろう。

朝飯の用意をしようとしたら机の上にメモを発見。

楓の書置きだ。

「昨日、寝てしまった時、布団かけてくれたんだな。礼ぐらいは言ってやる。ありがとな。話は変わるが、常に朝が遅いお前のために朝食を作ってやったぞ。冷蔵庫の中にあるから食っとけ。味の保証はできんけどな。PS,遅刻したら命がないと思え」

最初はいいが、最後は最悪だな。

冷蔵庫に中にメモ通りに見覚えのない皿がある。

手に取って見ると、シチューだ。

「まったりしたもん朝から食えるか!あほ!」

大声で叫ぶが、空しく部屋の中に響くだけだ。

しかし、料理の味は保証ができる。

楓が料理の才能に恵まれていたなんて信じたくないことだが、事実だし受け入れるしかない。

今日は時間があるのでゆっくり飯を食う。

ただ、ゆっくりすぎて時間が無くなった。

「げ!あんだけ時間あったのに、どうしてだ!」

余裕がないけど言いたい。

現実逃避したい。

考えるだけ無駄なことなので思いを振り払う。

急いで家から出ると、走ることに専念した。

今の時刻だと、いくら走ろうが間に合わない。

このままじゃ殺される!

怯えた思いが頭の中を何度となく巡る。

間に合って欲しいと願うが、学校に到着した時にはチャイムが容赦なく鳴っていた。

笑い泣きしながら校門を抜けて教室へ行こうとした時、校舎の入り口で生徒たちが群れを成していた。
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