第七世界
ドアや床などにぶつけられ、身が砕けそうになる。

全身、ガラスの破片で血を流しながらも、まだ生き延びている。

しかし、そろそろ意識が飛びそうだ。

「まだ生きてるんだ。ゴキブリ並の生命力だね」

ゴミを捨てるように、廊下に投げ捨てられる。

床にぶつかり、散々弄ばれた体は身動きが取れない。

「やっぱり、切り裂いた方がいいのかな?」

声が出ない。

鬼神の如く、容赦のない佳那美に手も足も出ない。

だが、心の奥底では、まだ諦められない部分がある。

最後の力を振り絞り立ち上がり、傍にある消火器を掴んで投げようとする。

「へえ、動けたりもするんだ。鷹威君って本当に飽きないね」

今の身体ではろくに投げられないかもしれない。

だが、最後まで抵抗してやるぜ。

「く、そ、が」

投げたものの佳那美に届くはずもなく、前に落ちる。

膝をついて、自分の終焉を感じた。

「ははは、やっぱそうなるよね。でも、ここまで出来る人間も珍しいかな」

佳那美の足音は死神のソレと同じだ。

鎌に似た爪で首をもぎ取ろうとしている。

「今日はありがとう。とても楽しめたよ」

表情は清々しく、人を殺すというのに躊躇いがない。

「じゃあ、もう会うことはないかな、さよなら」

佳那美が行動に移ろうとした時だった。

佳那美の背後の天井が崩れ去り、何かが降ってくる。

砂塵の中に、人影が一つ。

少しづつ姿が見え、俺は驚愕した。

「何?ソレ?仮装パーティーのつもり?」

先日、奇襲をかけてきた仮面の男が言葉を発する事無く立っている。

「あー、血の匂いがするし、私と同じ種類の生き物かな?」

佳那美は警戒する事無く、仮面の男を殺すために近づいていく。
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