第七世界
「あ、あんたは?」

楓の隣に立っているのはブロンドでウェーブのかかった女性。

髪を染めているわけではなく、地がそうなんだろう。

外国人にも見えるが、日本人にも見える。

「ティーナ=神崎だよー」

「楓の知り合い、か?」

「そうだよー。それよりー、傷を治すねー」

ティーナさんは、俺の傷口に手を添えて力を込める。

手が発光すると、全身も釣られるように眩い光に包まれる。

全身の傷口が塞がっていく。

「何だ、この力は」

「ティーナ、もういいだろう」

隣から腕を掴んで、治癒を止めさせたのは楓だった。

「でもー、まだ全部治ってないよー」

「恭耶なら普通の治療で治るんだ。ここで自分の寿命を縮めてどうする」

「でもー、酷い怪我だしー」

寿命を縮めるだと?

「今の、危険な力なのかよ?」

「馬鹿な君にもったいないくらいの力だ」

「おいおい、俺は町の安全を守ったんだぞ」

「でも、鷹威君のしたことって、無駄な行動だよね」

腕に怪我を負っているのにも関わらず、佳那美が無駄口を叩く。

「そもそも、何でお前みたいな奴が学校にいるんだよ?」

「別にいいじゃん。私は学校が好きなの」

「お前の好き勝手な理由で、人間を危険な目にさらすなよ」

「解決したんだからいいじゃんいいじゃん。あ、その薬、貰っとくね」

怪我をしてない手で瓶を略奪された。

「ティーナさんだっけ?出来れば、私の腕も治して欲しいな」

「君は人の話を聞いてなかったのか?」

佳那美も怖いが、今の殺気立った楓も恐ろしい。
< 88 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop