第七世界
「疲れてるんだから、少しくらい休ませろよ」

「約束は守らなあかんねん!」

事情などお構いなしなチビをどうにかしたいぜ。

「約束は守るけど翌日からじゃなくてもいいだろうが」

「じゃあ、恭耶に特製『星殺し』でも食べてもらおか」

「確かに、お前の料理は惑星一つを壊滅出来るよな」

「何納得しとんねん!」

「いてて」

ドラムを叩くように、両手に持ったハリセンで頭を叩かれる。

「たく、お前にはおしとやかさが足りない。皆無といっていい」

「恭耶は元気がボクのいいところって言ったやん」

「誰が極端でいいと言ったんだよ。ちげえだろ、他人への気配りとか、優しさとかあったほうがいいといってるんだよ!」

「自分の事棚に上げて何言ってるんよ。恭耶がいっても説得力ないねん」

こいつ、反論できねえ事を言ってきやがる。

「ホラ」

刹那が余ったエプロンを投げつけてくる。

「後々、もう少ししたら手伝うからよ」

俺はエプロンを持って、リビングのソファーに横になる。

「恭耶!」

「ちょっと横になれば回復するからよ」

刹那は何も言わず、キッチンへと歩いていった。

毎回毎回、我が侭好き放題を聞いてやっていたらキリがない。

少しくらいの我慢が必要だという事を身体に感じさせなくてはならない。

いや、あいつの場合、我慢なんかしやしねえ。

絶対、何かをしでかすに違いない。

警戒心を抱いていたものの、鬼とのやり取りで疲労が貯まっているようだ。

眠気が襲い始める。

「やべ」

このままでは、寝ている間に刹那に何をされるか解ったものじゃない。

でも、眠気には逆らえない。
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