第七世界
「はあ、はあ」

走って駅前に向い、辿り着いた時には集合時間丁度だった。

駅前は人通りが多く、疲れた顔をした人間が右往左往している。

その中にライダースジャケットにパンツの出で立ちという楓ともう一人いる。

「ティーナさん?」

ティーナさんは白を基準としたカーディガンにロングスカートだ。

「あ、恭耶君、こんにちわー」

「こ、こんにちわ」

どうしているのだろうか。

「恭耶君、今日は楓と二人でご飯を食べに行くんだよね?」

「え?ご飯?」

「私も連れて行って欲しいと思ってー、駄目かなー?」

本人は意識しているかどうか解らないが、猫なで声である。

「いや、OKっすよ。楓と二人だと姑と嫁の関係になって、どんどん仕事が増える一方です、から」

自分の言っている事が、いかにマズイ事か気づいた時には遅かった。

「解った、校舎の窓ガラスを拭いてもらおうじゃないか」

「おいおいおい、一日で終わるわけねえだろうが!」

「大丈夫だ、三日は時間をとってあげよう」

三日は授業をサボれという事だろうか。

「単位は、無論ない」

俺が聞こうとした事を先に答えられる。

どの道、答えなどわかっていた事だけどな。

「ふざけんな!卒業できねえだろうが!」

「君は私と一緒にいることのほうが嬉しいだろう?」

「自信過剰すぎるぜ!」

これでまた、俺の卒業が遠のいた。

「ふふ、仲いいよねー」

天使をイメージさせるような優しい笑みを浮かべるティーナさん。

「どうにも、彼が私にお熱のようでな」

「どこからどう見て、どんな解釈をすればそうなる!?」

悪魔をイメージさせるような恐ろしい企みを浮かべる楓さん。
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