第七世界
「それで、俺は楓と昼飯を食うためだけに学校を休まなくちゃならないのか?」

「ああ、その通りだ」

「学校休まなくても出来るよな?」

「その店は昼食しかやっていないんだ」

「はあ?そんな店あんのかよ?」

「ある」

「それは解ったけどよ、午前中の授業ぐらいは出られたよな?」

「女性と食事が出来るという浮いた気持ちでは授業に身が入らないだろう?そんな輩は教室にいてもいなくても同じだ」

「理不尽にもほどがあるだろうが!」

出席があるのとないのとでは大違いだ。

「あのな、留年させちゃいけないってのが教師の務めだろ?仕事放棄してるんじゃねえよ」

「これは課外授業だ。仕事をしていると言っていい」

「単位の入らないもんを授業とは呼べねえだろう」

「単位が全てだと抜かす阿呆はゴチャゴチャ言わずにこれを着るんだ」

手に持っていたブランド物の袋をこちらに寄越す。

「何で着替えなくちゃならないんだよ?」

「店に入れないからだ」

「はあ?」

袋の中身を覗くと、女性が着る服が一式入っている。

「女装しろとでもいうのか?」

「解ったのなら行動に移るんだ。そろそろ予約の時間だからな」

「ちょっと待てよ、俺には拒否権なしだっていうのか?」

「私、恭耶君とご飯食べたいなー」

楓はともかく、ティーナさんに求められるような瞳をされては断る事が出来ない。

「解ったよ。着りゃいいんだろ、着りゃあよ!」

でも、相当抵抗はあるよな。

「君はティーナを待たせるつもりか?早くしたまえ」

いつか絶対、仕返ししてやるぜ。

「楽しい思いをしたければ、無駄な事は考えない方がいい」

俺は何でまともな学校生活が出来ねえんだよ?
< 96 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop