第七世界
「おえええ」

究極に不味い。

刹那の惑星破壊兵器『料理』よりはマシだが、食べ物じゃないので不味すぎる。

「思わず飲んじまったじゃねえか!」

「おお、声が変わったぞ」

「あら、本当」

少しだけ女に近い声に変わった気がしないでもない。

『※チョークを食べて声が変わるか確証がありませんし、実験もしてません。食べる時は自己責任でお願いします。』

「わあ、今の間にプラカードを用意したんだねえ。恭耶君ってすごいねえ」

「は!俺は何でこんな物を!?」

注意書きの書いたプラカードを捨てて、気を取り直す。

「じゃあ、入ろうか」

「お腹空いてたんだー」

「君が、駄々をこねるからだな」

楓が冷たい視線をこちらに寄越す。

「8割は楓じゃねえかよ!」

「女のせいにするなんて、君は本当に情けない男だ」

最初に人のせいにしたのは、楓だろうに。

俺は疲労を負いながらも、店の中に入った。

店内も外観どおり広く大きく、天井は8メートル程度に位置していた。

テーブルや机は木で出来ており、アンティーク感が漂っている。

一言で言うならば、異世界か。

「Guten Tag(いらっしゃいませ)」

案内係の人なのか、銀髪オールバックのフォーマルな服装をしたウェイターが近づいてくる。

「綺麗な方がお揃いですね。これを」

ティーナさんと楓にバラの花を一本ずつ手渡していく。

「ありがとうございますー」

「すまいないな」

バラを貰っても邪魔になるだけだと思うんだがな。
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