アネモネ

今日も今日とて空は白かった。

なのに朝から暑くて体から汗がジットリでてくる。

こんな暑さの中、学校まで行くのだから友達ぐらいできてほしいものだと思う。
何が悲しくてこの暑さの中、一人で学校まで行くのだろう。
あたしが持っていたイメージとだいぶ違う。


全然違う。

普通は友達同士しゃべりながら歩いたりメールしたり電話したりするものではないのか?


なのに

どうしてあたしは一人なのだろうか?

都内の専門学校に行き、充実した人生を送っている親友を恨みたかった。


山より海の方が好きなのに…


山はあるわ林はあるわ森はあるわ。


なんたってこんな田舎に来てしまったのだろう。

これを思ったのは入学して何百回目だろうか?


もう数えきれやしない。


田舎が嫌いとは言わない。


今の環境が嫌なだけだ。


一人寂しく授業を受け、一人寂しく帰る。


このことさえなければ嫌だとは言わない。


ただ…一緒に学校生活を楽しく過ごしてくれる友達が欲しいだけたのだ。


毎夜毎夜、空を見上げて願っている自分を思い出すとなんとも虚しい。


あぁどうか一人で良いから、分かち合える友達ができますように。


だがまさか


この夢のような願いが奇妙な形で叶うとは思いもしなかった…。


< 4 / 19 >

この作品をシェア

pagetop