Tactic
鈍い音を醸し出しながら、ドアが開く。


油をさせば、その音も解消されるというのに、リエさんは気にしてなどいない満面の笑みで俺を迎え入れた。


「学校終わってすぐ来てってメールしたのに…もう夜中なんだけど」


「すみません」


俺が一言そう言うと、リエさんは「まぁ、いいけど」と、俺の頬に手を添えた。


玄関から入ってすぐにある、リエさんの部屋。


女の子らしいピンクのカーテンに安物のパイプベッド。


机はなく、真ん中に丸い小さなテーブルがあり、その上にはたくさんの化粧道具が散らばっていた。
< 112 / 305 >

この作品をシェア

pagetop