Tactic
「バカ。冗談だよ……」



最初は、からかうつもりだった。


トーコが純粋に兄貴を想っている間、俺だけが汚れていった。

純粋な二人が羨ましかった。


口が悪く、要領がいい俺ではなく優しくて気立てのいい兄貴ばかり見つめるトーコに


俺はいつしか惹かれていた。


その唇に最初に触れるのは誰か……


その肌に最初に触れるのはどんな男なのか…

俺じゃないことは100パーセント分かってる。


目を見開く俺。


ずっと重ねたくて仕方がなかった唇が今……俺の唇に重なった。


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