Tactic
「あの…私、探してきます!」

『はぁ?ちょっ…若宮!待って待って!!んな、探さなくても、どうせどっかぶらついて…』


「いつもと違った。あの叶さんて人と会ってから、智也……なんか表情が暗いというか。私、探して…」


『待って!!若宮。オレに詳しく話して』

落ち着いたその声に、私の心は平常心を取り戻したかのようだった。


南木先輩は、今からオレが探しに行くからって、若宮は危ないから家でおとなしくしとけって…そう言ってくれた。


それでも、心配だった私は朝まで帰ってこなかったら、朝一番に探しに行くと南木先輩に伝えた。

『なら、一緒に探しに行こう』


南木先輩の口から発せられた言葉。


私はそれに驚きと嬉しさを感じた。


でも、それが、智也の心を悲しませるなんて今の私には気づきもしなかった。
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