Tactic
南木家に到着すると、門の前に先輩がいた。


建て替えたという二階建てのグレーの一軒家は、まだ真新しい。


「若宮!親は大丈夫だった?」


走ってきたからか、呼吸は荒く南木先輩の前までたどり着くと、私は膝に手を置き肩で大きく息をしていた。


「なんとかっ……マラソン大会の練習するって言って出てきました」


「ははっ、オレも受験勉強の合間に走るからっつって」


見上げた瞬間、南木先輩の笑顔が私の視界に入ってきた。


太陽を背景に、南木先輩の笑顔が輝いて見える。

なんだか、キラキラ輝いていて私の心臓は早さを増していった。


しばらく、その笑顔に見入っていると背後から声が聞こえた。
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