Tactic
「なに?俺が死ぬとでも思ったわけ?それか叶さん達と悪いことすると思ったわけ?ガキじゃあるまいし」


「智也!!そんないい方ないでしょ?南木先輩は本当にあんたを心配して…」

智也の言い方に腹がたち、私は怒る。

だって、南木先輩は夜中ずっと智也を探していたんだもん。

二時間ほど仮眠をとって、また起きて私と一緒に探しに行こうとした。



「良かったじゃん。兄貴とお近づきになれて。……俺なんかいなくてもいいんじゃねぇの?」


私も南木先輩も、智也のこと本当に心配していたのに。


「また……叶さんって人のとこに行ってたの?何かトラブルでもあったんじゃ」


智也はしばらく無言のままでいた。


心配する私の顔を見つめた後、そのまま勢いよく手首を掴まれた。


「……今までこの指、女ん中突っ込んでた。どう?これで満足?俺がどこに行ってたか知りたかったんだろ?」


目を見開いた。そんなこと急に言うもんだから、なんだか恥ずかしくて、私は、思わず智也の手を振り払っていた。



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