Tactic
「若宮、あのさ」


「はい。なんですか?」


「何かあったら、いつでもオレを頼れよな?一人でさ、あんま考え込むな。オレはこういう楽天的な性格だから、なんとも言えねぇんだけど……とにかくさ、オレを頼っていいから。な?」


南木先輩の手が、私の頭をポンポンと二回、軽く叩いた。


心臓が跳ね上がる。


屈託のない先輩の笑顔は、私の心をいとも簡単に掴んでいくのだ。


「若宮、家……着いたぞ。わざわざ智也のこと心配してくれてありがとうな」


家の前で立ち止まる二人。

「先輩……私……」



先輩の目を見つめ、私は思わず口を開いた。
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